はじめての宗助に取って、少し足元が滑《なめら》かに行かなかった。土の中に根を食っている石に、一二度|下駄《げた》の台を引っ掛けた。蓮池の手前から横に切れる裏路もあるが、この方は凸凹《とつおう》が多くて、慣《な》れない宗助には近くても不便だろうと云うので、宜道はわざわざ広い方を案内したのである。
玄関を入ると、暗い土間に下駄がだいぶ並んでいた。宗助は曲《こご》んで、人の履物《はきもの》を踏まないようにそっと上へのぼった。室《へや》は八畳ほどの広さであった。その壁際《かべぎわ》に列を作って、六七人の男が一側《ひとかわ》に並んでいた。中に頭を光らして、黒い法衣《ころも》を着た僧も交っていた。他《ほか》のものは大概|袴《はかま》を穿《は》いていた。この六七人の男は上《あが》り口《ぐち》と奥へ通ずる三尺の廊下《ろうか》口を残して、行儀よく鉤《かぎ》の手《て》に並んでいた。そうして、一言《ひとこと》も口を利《き》かなかった。宗助はこれらの人の顔を一目見て、まずその峻刻《しゅんこく》なのに気を奪われた。彼らは皆固く口を結んでいた。事ありげな眉《まゆ》を強く寄せていた。傍《そば》にどんな人がいるか見
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