に尋ねて見ると、主人は、
「冒険者《アドヴェンチュアラー》」と再び先刻《さっき》の言葉を力強く繰り返した。「何をしているか分らない。私には、牧畜をやっています。しかも成功していますと云うんですがね、いっこう当《あて》にはなりません。今までもよく法螺《ほら》を吹いて私を欺《だま》したもんです。それに今度東京へ出て来た用事と云うのがよっぽど妙です。何とか云う蒙古王のために、金を二万円ばかり借りたい。もし借してやらないと自分の信用に関わるって奔走しているんですからね。そのとっぱじめに捕まったのは私だが、いくら蒙古王だって、いくら広い土地を抵当にするったって、蒙古と東京じゃ催促さえできやしませんもの。で、私が断ると、蔭《かげ》へ廻って妻《さい》に、兄さんはあれだから大きな仕事ができっこないって、威張っているんです。しようがない」
主人はここで少し笑ったが、妙に緊張した宗助の顔を見て、
「どうです一遍逢って御覧になっちゃ、わざわざ毛皮の着いただぶだぶしたものなんか着て、ちょっと面白いですよ。何なら御紹介しましょう。ちょうど明後日《あさって》の晩呼んで飯を食わせる事になっているから。――なに引っ
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