たま音便《たより》があったって、蒙古《もうこ》という所は、水に乏しい所で、暑い時には往来へ泥溝《どぶ》の水を撒《ま》くとかね、またはその泥溝の水が無くなると、今度は馬の小便を撒くとか、したがってはなはだ臭いとか、まあそんな手紙が来るだけですから、――そりゃあ金の事も云って来ますが、なに東京と蒙古だから打遣《うちや》っておけばそれまでです。だから離れてさえいれば、まあいいんですが、そいつが去年の暮突然出て来ましてね」
主人は思いついたように、床の柱にかけた、綺麗《きれい》な房のついた一種の装飾物を取りおろした。
それは錦の袋に這入《はい》った一尺ばかりの刀であった。鞘《さや》は何《なに》とも知れぬ緑色の雲母《きらら》のようなものでできていて、その所々が三カ所ほど巻いてあった。中身は六寸ぐらいしかなかった。したがって刃《は》も薄かった。けれども鞘の格好《かっこう》はあたかも六角の樫《かし》の棒のように厚かった。よく見ると、柄《つか》の後《うしろ》に細い棒が二本並んで差さっていた。結果は鞘を重ねて離れないために銀の鉢巻をしたと同じであった。主人は
「土産《みやげ》にこんなものを持って来ま
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