「何をするんだろう」と宗助は疑ぐった。
「きっと歌加留多《うたがるた》でしょう。小供が多いから」と御米が云った。「あなた行っていらっしゃい」
「せっかくだから御前行くが好い。おれは歌留多は久しく取らないから駄目だ」
「私も久しく取らないから駄目ですわ」
 二人は容易に行こうとはしなかった。しまいに、では若旦那がみんなを代表して行くが宜《よ》かろうという事になった。
「若旦那行って来い」と宗助が小六《ころく》に云った。小六は苦笑《にがわら》いして立った。夫婦は若旦那と云う名を小六に冠《かむ》らせる事を大変な滑稽《こっけい》のように感じた。若旦那と呼ばれて、苦笑いする小六の顔を見ると、等しく声を出して笑い出した。小六は春らしい空気の中《うち》から出た。そうして一町ほどの寒さを横切って、また春らしい電灯の下《もと》に坐った。
 その晩小六は大晦日《おおみそか》に買った梅の花の御手玉《おてだま》を袂《たもと》に入れて、これは兄から差上げますとわざわざ断って、坂井の御嬢さんに贈物にした。その代り帰りには、福引に当った小さな裸人形を同じ袂へ入れて来た。その人形の額が少し欠けて、そこだけ墨で塗って
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