い襟首がよく見えた。
「どうも込んで込んで、洗う事も桶《おけ》を取る事もできないくらいなの」と始めて緩《ゆっ》くり息を吐《つ》いた。
清の帰ったのは十一時過であった。これも綺麗《きれい》な頭を障子から出して、ただ今、どうも遅くなりましたと挨拶《あいさつ》をしたついでに、あれから二人とか三人とか待ち合したと云う話をした。
ただ小六だけは容易に帰らなかった。十二時を打ったとき、宗助はもう寝ようと云い出した。御米は今日に限って、先へ寝るのも変なものだと思って、できるだけ話を繋《つな》いでいた。小六は幸《さいわい》にして間もなく帰った。日本橋から銀座へ出てそれから、水天宮の方へ廻ったところが、電車が込んで何台も待ち合わしたために遅くなったという言訳をした。
白牡丹《はくぼたん》へ這入《はい》って、景物の金時計でも取ろうと思ったが、何も買うものがなかったので、仕方なしに鈴の着いた御手玉《おてだま》を一箱買って、そうして幾百となく器械で吹き上げられる風船を一つ攫《つか》んだら、金時計は当らないで、こんなものがあたったと云って、袂《たもと》から倶楽部《くらぶ》洗粉《あらいこ》を一袋出した。それ
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