》がれたまま、手を携《たずさ》えてどこまでも、いっしょに歩調を共にしなければならない事を見出した。彼らは親を棄《す》てた。親類を棄てた。友達を棄てた。大きく云えば一般の社会を棄てた。もしくはそれらから棄てられた。学校からは無論棄てられた。ただ表向だけはこちらから退学した事になって、形式の上に人間らしい迹《あと》を留《とど》めた。
これが宗助と御米の過去であった。
十五
この過去を負わされた二人は、広島へ行っても苦しんだ。福岡へ行っても苦しんだ。東京へ出て来ても、依然として重い荷に抑《おさ》えつけられていた。佐伯《さえき》の家とは親しい関係が結べなくなった。叔父は死んだ。叔母と安之助《やすのすけ》はまだ生きているが、生きている間に打ち解けた交際《つきあい》はできないほど、もう冷淡の日を重ねてしまった。今年はまだ歳暮にも行かなかった。向《むこう》からも来なかった。家《いえ》に引取った小六《ころく》さえ腹の底では兄に敬意を払っていなかった。二人が東京へ出たてには、単純な小供の頭から、正直に御米《およね》を悪《にく》んでいた。御米にも宗助《そうすけ》にもそれがよく分って
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