どの苦しみであった。大風は突然不用意の二人を吹き倒したのである。二人が起き上がった時はどこもかしこもすでに砂だらけであったのである。彼らは砂だらけになった自分達を認めた。けれどもいつ吹き倒されたかを知らなかった。
 世間は容赦なく彼らに徳義上の罪を背負《しょわ》した。しかし彼ら自身は徳義上の良心に責められる前に、いったん茫然《ぼうぜん》として、彼らの頭が確《たしか》であるかを疑った。彼らは彼らの眼に、不徳義な男女《なんにょ》として恥ずべく映る前に、すでに不合理な男女として、不可思議に映ったのである。そこに言訳らしい言訳が何にもなかった。だからそこに云うに忍びない苦痛があった。彼らは残酷な運命が気紛《きまぐれ》に罪もない二人の不意を打って、面白半分|穽《おとしあな》の中に突き落したのを無念に思った。
 曝露《ばくろ》の日がまともに彼らの眉間《みけん》を射たとき、彼らはすでに徳義的に痙攣《けいれん》の苦痛を乗り切っていた。彼らは蒼白《あおしろ》い額を素直に前に出して、そこに※[#「(諂−言)+炎」、第3水準1−87−64]《ほのお》に似た烙印《やきいん》を受けた。そうして無形の鎖で繋《つな
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