《やゆ》を津田に浴びせた。
「旦那様はさぞ猟がお上手でいらっしゃいましょうね」
日当りの好い南向《みなみむき》の座敷に取り残された二人は急に静かになった。津田は縁側に面して日を受けて坐っていた。清子は欄干《らんかん》を背にして日に背《そむ》いて坐っていた。津田の席からは向うに見える山の襞《ひだ》が、幾段にも重なり合って、日向日裏《ひなたひうら》の区別を明らさまに描き出す景色が手に取るように眺められた。それを彩《いろ》どる黄葉《こうよう》の濃淡がまた鮮《あざ》やかな陰影の等差を彼の眸中《ぼうちゅう》に送り込んだ。しかし眼界の豁《ひろ》い空間に対している津田と違って、清子の方は何の見るものもなかった。見れば北側の障子《しょうじ》と、その障子の一部分を遮《さえ》ぎる津田の影像《イメジ》だけであった。彼女の視線は窮屈であった。しかし彼女はあまりそれを苦にする様子もなかった。お延ならすぐ姿勢を改めずにはいられないだろうというところを、彼女はむしろ落ちついていた。
彼女の顔は、昨夕《ゆうべ》と反対に、津田の知っている平生の彼女よりも少し紅《あか》かった。しかしそれは強い秋の光線を直下《じか》に
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