ですもの」と弁解した彼女は、真面目《まじめ》な津田の様子を見て、後からそれを具体的に説明すべく余儀なくされた。
「なるほど、そうに違いございませんね。生きてるうちはどなたも同《おん》なじ人間で、生れ変りでもしなければ、誰だって違った人間になれっこないんだから」
「ところがそうでないよ。生きてるくせに生れ変る人がいくらでもあるんだから」
「へえそうですかね、そんな人があったら、ちっとお目にかかりたいもんだけれども」
「お望みなら逢《あ》わせてやってもいいがね」
「どうぞ」といった下女はまたげらげら笑い出した。「またこれでしょう」
彼女は人指指《ひとさしゆび》を自分の鼻の先へ持って行った。
「旦那様《だんなさま》のこれにはとても敵《かな》いません。奥さまのお部屋をちゃんと臭《におい》で嗅《か》ぎ分ける方《かた》なんですから」
「部屋どころじゃないよ。お前の年齢《とし》から原籍から、生れ故郷から、何から何まであてるんだよ。この鼻一つあれば」
「へえ恐ろしいもんでございますね。――どうも敵わない、旦那様に会っちゃ」
下女はこう云って立ち上った。しかし室《へや》を出《で》がけにまた一句の揶揄
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