半睡の間に、辛《かろ》うじて持続した。室《へや》の四角《よすみ》が寝ていられないほど明るくなって、外部《そと》に朝日の影が充《み》ち渡ると思う頃、始めて起き上った津田の瞼《まぶた》はまだ重かった。彼は楊枝《ようじ》を使いながら障子《しょうじ》を開けた。そうして昨夜来の魔境から今ようやく覚醒した人のような眼を放って、そこいらを見渡した。
 彼の室の前にある庭は案外にも山里らしくなかった。不規則な池を人工的に拵《こしら》えて、その周囲に稚《わか》い松だの躑躅《つつじ》だのを普通の約束通り配置した景色は平凡というよりむしろ卑俗であった。彼の室に近い築山の間から、谿水《たにみず》を導いて小さな滝を池の中へ落している上に、高くはないけれども、一度に五六筋の柱を花火のように吹き上げる噴水まで添えてあった。昨夜《ゆうべ》彼の睡眠を悩ました細工の源《みなもと》を、苦笑しながら明らさまに見た時、彼の聯想《れんそう》はすぐこの水音以上に何倍か彼を苦しめた清子の方へ推《お》し移った。大根《おおね》を洗えばそれもこの噴水同様に殺風景なものかも知れない、いやもしそれがこの噴水同様に無意味なものであったらたまらな
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