半分ほど隙《す》かされたその二枚の間から、冷たい一道の夜気が、※[#「糸」+褞のつくり」、第3水準1−90−18]袍《どてら》を脱ぎにかかった津田の身体《からだ》を、山里らしく襲《おそ》いに来た。
「ああ寒い」
津田はざぶんと音を立てて湯壺の中へ飛び込んだ。
「ごゆっくり」
戸を閉めて出ようとした下女はいったんこう云った後で、また戻って来た。
「まだ下にもお風呂場がございますから、もしそちらの方がお気に入るようでしたら、どうぞ」
来る時もう階子段を一つか二つ下りている津田には、この浴槽の階下《した》がまだあろうとは思えなかった。
「いったい何階なのかね、この家《うち》は」
下女は笑って答えなかった。しかし用事だけは云い残さなかった。
「ここの方が新らしくって綺麗《きれい》は綺麗ですが、お湯は下の方がよく利《き》くのだそうです。だから本当に療治の目的でおいでの方はみんな下へ入らっしゃいます。それから肩や腰を滝でお打たせになる事も下ならできます」
湯壺から首だけ出したままで津田は答えた。
「ありがとう。じゃ今度《こんだ》そっちへ入るから連れてってくれたまえ」
「ええ。旦那様《だん
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