彼の思わく通り、自分と同じ見当へ向いて、同じ交通機関を利用する連中だと知れた時、津田は気をつけて彼らの手荷物を注意した。けれども彼らの雨曝《あまざら》しになるのを苦《く》に病んだほどの大嵩《おおがさ》なものはどこにも見当らなかった。のみならず、爺《じい》さんは自分が先刻云った事さえもう忘れているらしかった。
「ありがたい、大当りだ。だからやっぱり行こうと思った時に立っちまうに限るよ。これでぐずぐずして東京にいて御覧な。ああつまらねえ、こうと知ったら、思い切って今朝立っちまえばよかったと後悔するだけだからね」
「そうさ。だが東京も今頃はこのくらい好い天気になってるんだろうか」
「そいつあ行って見なけりゃ、ちょいと分らねえ。何なら電話で訊《き》いてみるんだ。だが大体《たいてい》間違《まちがい》はないよ。空は日本中どこへ行ったって続いてるんだから」
津田は少しおかしくなった。すると爺さんがすぐ話しかけた。
「あなたも湯治場《とうじば》へいらっしゃるんでしょう。どうもおおかたそうだろうと思いましたよ、先刻から」
「なぜですか」
「なぜって、そういう所へ遊びに行く人は、様子を見ると、すぐ分りま
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