いので、僕は帰る宅さえなくなりました。
 叔父の仕事はまるで山です。金なんか少しもないのです。そうして彼ら夫婦は極《きわ》めて冷やかな極めて吝嗇《りんしょく》な人達です。だから来た当座僕は空腹に堪えかねて、三日に一遍ぐらい姉の家《うち》へ帰って飯を食わして貰いました。兵糧《ひょうろう》が尽きて焼芋《やきいも》や馬鈴薯《じゃがいも》で間に合せていたこともあります。もっともこれは僕だけです。叔母は極めて感じの悪い女です。万事が打算的で、体裁《ていさい》ばかりで、いやにこせこせ突ッ付き廻したがるんで、僕はちくちく刺されどうしに刺されているんです。叔父は金のないくせに酒だけは飲みます。そうして田舎《いなか》へ行けば殿様だなどと云って威張るんです。しかし裏側へ入ってみると驚ろく事ばかりです。訴訟事件さえたくさん起っているくらいです。出発のたびに汽車賃がなくって、質屋へ駈けつけたり、姉の家へ行って、苦しいところを算段して来てやったりしていますが、叔父の方じゃ、僕の食費と差引にする気か何かで澄ましているのです。
 叔母は最初から僕が原稿を書いて食扶持《くいぶち》でも入れるものとでも思ってるんでしょう
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