えたって、実戦において敗北すりゃそれまでだろう。だから僕が先刻《さっき》から云うんだ、実地を踏んで鍛《きた》え上げない人間は、木偶《でく》の坊《ぼう》と同《おん》なじ事だって」
「そうだそうだ。世の中で擦《す》れっ枯《か》らしと酔払いに敵《かな》うものは一人もないんだ」
 何か云うはずの小林は、この時返事をする代りにまた女伴《おんなづれ》の方を一順《いちじゅん》見廻した後で、云った。
「じゃいよいよ第三だ。あの女の立たないうちに話してしまわないと気がすまない。好いかね、君、先刻の続きだぜ」
 津田は黙って横を向いた。小林はいっこう構わなかった。
「第三にはだね。すなわち換言すると、本論に入って云えばだね。僕は先刻あすこにいる女達を捕《つら》まえて、ありゃ芸者かって君に聴いて叱《しか》られたね。君は貴婦人に対する礼義を心得ない野人として僕を叱ったんだろう。よろしい僕は野人だ。野人だから芸者と貴婦人との区別が解らないんだ。それで僕は君に訊《き》いたね、いったい芸者と貴婦人とはどこがどう違うんだって」
 小林はこう云いながら、三度目の視線をまた女伴の方に向けた。手帛《ハンケチ》で手を拭いてい
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