よ》せよ」
「まだ何にも云やしないじゃないか」
「だから注意するんだ。僕の攻撃はいくらでも我慢するが、縁もゆかりもない人の悪口などは、ちっと慎《つつ》しんでくれ、こんな所へ来て」
「厭《いや》に小心だな。おおかた場末の酒場《バー》とここといっしょにされちゃたまらないという意味なんだろう」
「まあそうだ」
「まあそうだなら、僕のごとき無頼漢《ぶらいかん》をこんな所へ招待するのが間違だ」
「じゃ勝手にしろ」
「口で勝手にしろと云いながら、内心ひやひやしているんだろう」
津田は黙ってしまった。小林は面白そうに笑った。
「勝ったぞ、勝ったぞ。どうだ降参したろう」
「それで勝ったつもりなら、勝手に勝ったつもりでいるがいい」
「その代り今後ますます貴様を軽蔑《けいべつ》してやるからそう思えだろう。僕は君の軽蔑なんか屁《へ》とも思っちゃいないよ」
「思わなけりゃ思わないでもいいさ。五月蠅《うるさ》い男だな」
小林はむっとした津田の顔を覗《のぞ》き込むようにして見つめながら云った。
「どうだ解ったか、おい。これが実戦というものだぜ。いくら余裕があったって、金持に交際があったって、いくら気位を高く構
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