れて来たんでしょう」
「そりゃおれにかけ合ったって駄目《だめ》だ。京都にいるお父さんかお母さんへ尻《しり》を持ち込むよりほかに、苦情の持ってきどころはないんだから」
 苦笑したお延はまだ黙らなかった。
「いいから、今に見ていらっしゃい」
「何を」と訊《き》き返した津田は少し驚ろかされた。
「何でもいいから、今に見ていらっしゃい」
「見ているが、いったい何だよ」
「そりゃ実際に問題が起って来なくっちゃ云えないわ」
「云えないのはつまりお前にも解《わか》らないという意味なんじゃないか」
「ええそうよ」
「何だ下らない。それじゃまるで雲を掴《つか》むような予言だ」
「ところがその予言が今にきっとあたるから見ていらっしゃいというのよ」
 津田は鼻の先でふんと云った。それと反対にお延の態度はだんだん真剣に近づいて来た。
「本当よ。何だか知らないけれども、あたし近頃|始終《しじゅう》そう思ってるの、いつか一度このお肚《なか》の中にもってる勇気を、外へ出さなくっちゃならない日が来るに違《ちがい》ないって」
「いつか一度? だからお前のは妄想《もうぞう》と同《おん》なじ事なんだよ」
「いいえ生涯《しょ
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