る事になった訳かな。まあありがたい」
「あんまりありがたくもないでしょう」
「いやありがたいよ」
「宅《うち》の方が病院よりはまだましだとおっしゃるんでしょう」
「まあその辺かも知れないがね」
 津田はいつもの調子でこう云った後で、急に思い出したように付け足した。
「今度はお前の拵《こしら》えてくれた※[#「糸」+褞のつくり」、第3水準1−90−18]袍《どてら》で助かったよ。綿が新らしいせいか大変着心地が好いね」
 お延は笑いながら夫を冷嘲《ひやか》した。
「どうなすったの。なんだか急にお世辞《せじ》が旨《うま》くおなりね。だけど、違ってるのよ、あなたの鑑定は」
 お延は問題の※[#「糸」+褞のつくり」、第3水準1−90−18]袍を畳みながら、新らしい綿ばかりを入れなかった事実を夫に白状した。津田はその時着物を着換えていた。絞《しぼ》りの模様の入った縮緬《ちりめん》の兵児帯《へこおび》をぐるぐる腰に巻く方が、彼にはむしろ大事な所作《しょさ》であった。それほど軽く※[#「糸」+褞のつくり」、第3水準1−90−18]袍の中味を見ていた彼の愛嬌《あいきょう》は、正直なお延の返事を待ち受ける
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