問題が残っていた。二人はそこをふり返らないで話を切り上げる訳に行かなかった。夫人が踵《きびす》を回《めぐ》らさないうちに、津田は帰った。
「それで私が行くとしたら、どうなるんです、先刻《さっき》おっしゃった事は」
「そこです。そこを今云おうと思っていたのよ。私に云わせると、これほど好い療治はないんですがね。どうでしょう、あなたのお考えは」
 津田は答えなかった。夫人は念を押した。
「解ったでしょう。後は云わなくっても」
 夫人の意味は説明を待たないでもほぼ津田に呑《の》み込めた。しかしそれをどんな風にして、お延の上に影響させるつもりなのか、そこへ行くと彼には確《しか》とした観念がなかった。夫人は笑い出した。
「あなたは知らん顔をしていればいいんですよ。後は私の方でやるから」
「そうですか」と答えた津田の頭には疑惑があった。後《あと》を挙《あ》げて夫人に一任するとなると、お延の運命を他人に委《ゆだ》ねると同じ事であった。多少夫人の手腕を恐れている彼は危ぶんだ。何をされるか解らないという掛念《けねん》に制せられた。
「お任せしてもいいんですが、手段や方法が解っているなら伺っておく方が便利か
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