ません。あいつが耶蘇教《ヤソきょう》のような気※[#「(諂−言)+炎」、第3水準1−87−64]《きえん》を吐《は》いただけです」
「とにかくあなたがたは二人、向うは一人だったに違《ちがい》ないでしょう」
「そりゃそうかも知れません」
「それ御覧なさい。それが悪いじゃありませんか」
夫人の断定には意味も理窟《りくつ》もなかった。したがってどこが悪いんだか津田にはいっこう通じなかった。けれどもこういう場合にこんな風になって出て来る夫人の特色は、けっして逆《さか》らえないものとして、もう津田の頭に叩《たた》き込まれていた。素直《すなお》に叱られているよりほかに彼の途《みち》はなかった。
「そういうつもりでもなかったんですけれども、自然の勢《いきおい》で、いつかそうなってしまったんでしょう」
「でしょうじゃいけません。ですと判然《はっきり》おっしゃい。いったいこういうと失礼なようですが、あなたがあんまり延子さんを大事になさり過ぎるからよ」
津田は首を傾けた。
百三十三
怜俐《れいり》な性分に似合わず夫人対お延の関係は津田によく呑《の》み込めていなかった。夫人に津田の
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