私がですか」
「いいえ、両方がよ」
苦笑した津田が口を閉じるのを待って、夫人の方で口を開いた。
「延子さんと秀子さんは昨日《きのう》ここで落ち合ったでしょう」
「ええ」
「それから何かあったのね、変な事が」
「別に……」
「空《そら》ッ惚《とぼ》けちゃいけません。あったらあったと、判然《はっきり》おっしゃいな、男らしく」
夫人はようやく持前の言葉|遣《づか》いと特色とを、発揮し出した。津田は挨拶《あいさつ》に困った。黙って少し様子を見るよりほかに仕方がないと思った。
「秀子さんをさんざん苛《いじ》めたって云うじゃありませんか。二人して」
「そんな事があるものですか。お秀の方が怒ってぷんぷん腹を立てて帰って行ったのです」
「そう。しかし喧嘩《けんか》はしたでしょう。喧嘩といったって殴《なぐ》り合《あい》じゃないけれども」
「それだってお秀のいうような大袈裟《おおげさ》なものじゃないんです」
「かも知れないけれども、多少にしろ有ったには有ったんですね」
「そりゃちょっとした行違《いきちがい》ならございました」
「その時あなた方は二人がかりで秀子さんを苛《いじ》めたでしょう」
「苛めやし
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