うにして持たせた植木鉢《うえきばち》をちょっとふり返って見て、「どこへ置きましょう」と相談するように訊《き》いた。津田は看護婦の白い胸に映る紅葉《もみじ》の色を美くしく眺めた。小さい鉢の中で、窮屈そうに三本の幹が調子を揃《そろ》えて並んでいる下に、恰好《かっこう》の好い手頃な石さえあしらったその盆栽《ぼんさい》が床《とこ》の間《ま》の上に置かれた後で、夫人は始めて席に着いた。
「どうです」
先刻《さっき》から彼女の様子を見ていた津田は、この時始めて彼に対する夫人の態度を確かめる事ができた。もしやと思って、暗《あん》に心配していた彼の掛念《けねん》の半分は、この一語《いちご》で吹き晴らされたと同じ事であった。夫人はいつもほど陽気ではなかった。その代りいつもほど上《うわ》っ調子《ちょうし》でもなかった。要するに彼女は、津田がいまだかつて彼女において発見しなかった一種の気分で、彼の室に入って来たらしかった。それは一方で彼女の落ちつきを極度に示していると共に、他方では彼女の鷹揚《おうよう》さをやはり最高度に現わすものらしく見えた。津田は少し驚ろかされた。しかし好い意味で驚ろかされただけに、気
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