どこからそんな好意が急に湧《わ》いて出たのだろうと思うと、津田は不思議でならなかった。それをお延はこう説明した。
「そりゃ厭《いや》なのよ。この上叔父さんにお金の事なんかで迷惑をかけるのは。けれども仕方がないわ、あなた。いざとなればそのくらいの勇気を出さなくっちゃ、妻としてのあたしの役目がすみませんもの」
「叔父さんに訳を話したのかい」
「ええ、そりゃずいぶん辛《つら》かったの」
お延は津田へ来る時の支度を大部分岡本に拵《こしら》えて貰《もら》っていた。
「その上お金なんかには、ちっとも困らない顔を今日《きょう》までして来たんですもの。だからなおきまりが悪いわ」
自分の性格から割り出して、こういう場合のきまりの悪さ加減は、津田にもよく呑《の》み込めた。
「よくできたね」
「云えばできるわ、あなた。無いんじゃないんですもの。ただ云い悪《にく》いだけよ」
「しかし世の中にはまたお父さんだのお秀だのっていう、むずかしやも揃《そろ》っているからな」
津田はかえって自尊心を傷《きずつ》けられたような顔つきをした。お延はそれを取《と》り繕《つく》ろうように云った。
「なにそう云う意味ばかりで
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