するような不体裁《ふていさい》は演じなかった。ただ津田は兄だけに、また男だけに、話を一点に括《くく》る手際《てぎわ》をお秀より余計にもっていた。
「つまりお前は兄さんに対して同情がないと云うんだろう」
「そうじゃないわ」
「でなければお延に同情がないというんだろう。そいつはまあどっちにしたって同《おん》なじ事だがね」
「あら、嫂《ねえ》さんの事をあたし何とも云ってやしませんわ」
「要するにこの事件について一番悪いものはおれだと、結局こうなるんだろう。そりゃ今さら説明を伺わなくってもよく兄さんには解ってる。だから好いよ。兄さんは甘んじてその罰を受けるから。今月はお父さんからお金を貰わないで生きて行くよ」
「兄さんにそんな事ができて」
 お秀の兄を冷笑《あざ》けるような調子が、すぐ津田の次の言葉を喚《よ》び起《おこ》した。
「できなければ死ぬまでの事さ」
 お秀はついにきりりと緊《しま》った口元を少し緩《ゆる》めて、白い歯を微《かす》かに見せた。津田の頭には、電灯の下で光る厚帯を弄《いじ》くっているお延の姿が、再び現れた。
「いっそ今までの経済事情を残らずお延に打ち明けてしまおうか」
 津
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