体《からだ》に合わないようなら今のうちに直させたいというのであった。
お延はすぐ入用《いりよう》の品を箪笥《たんす》の底から出してやろうかと思った。けれども彼女はまだ津田から何にも聞いていなかった。
「どうせもう着る事なんかなかろうとは思うんですが」といって逡巡《ためら》った彼女は、こんな事に案外やかましい夫の気性《きしょう》をよく知っていた。着古した外套《がいとう》一つが本《もと》で、他日細君の手落呼《ておちよば》わりなどをされた日には耐《たま》らないと思った。
「大丈夫ですよ、くれるって云ったに違《ちがい》ないんだから。嘘《うそ》なんか吐《つ》きやしませんよ」
出してやらないと小林を嘘吐《うそつき》としてしまうようなものであった。
「いくら酔払っていたって気は確《たしか》なんですからね。どんな事があったって貰う物を忘れるような僕じゃありませんよ」
お延はとうとう決心した。
「じゃしばらく待ってて下さい。電話でちょっと病院へ聞き合せにやりますから」
「奥さんは実に几帳面《きちょうめん》ですね」と云って小林は笑った。けれどもお延の暗《あん》に恐れていた不愉快そうな表情は、彼の顔の
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