やがて来《きた》るべき陰陽不和の理を悟るために過ぎない。……
叔父の言葉のどこまでが藤井の受売《うけうり》で、どこからが自分の考えなのか、またその考えのどこまでが真面目《まじめ》で、どこからが笑談《じょうだん》なのか、お延にはよく分らなかった。筆を持つ術《すべ》を知らない叔父は恐ろしく口の達者な人であった。ちょっとした心棒《しんぼう》があると、その上に幾枚でも手製の着物を着せる事のできる人であった。俗にいう警句という種類のものが、いくらでも彼の口から出た。お延が反対すればするほど、膏《あぶら》が乗ってとめどなく出て来た。お延はとうとう好い加減にして切り上げなければならなかった。
「ずいぶんのべつね、叔父さんも」
「口じゃとても敵《かな》いっこないからお止《よ》しよ。こっちで何かいうと、なお意地になるんだから」
「ええ、わざわざ陰陽不和を醸《かも》すように仕向けるのね」
お延が叔母とこんな批評を取り換わせている間、叔父はにこにこして二人を眺めていたが、やがて会話の途切《とぎ》れるのを待って、徐《おもむ》ろに宣告を下した。
「とうとう降参しましたかな。降参したなら、降参したで宜《よろ》
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