掠《かす》めて、空濶《くうかつ》の中《うち》に消えてしまった。その迹《あと》を見上げると、遥《はるか》なる大きい鏡である。
 その時我々はもう頂《いただき》近くにいた。ここいらへも砲丸《たま》が飛んで来たんでしょうなと聞くと、ここでやられたものは、多く味方の砲丸自身のためです。それも砲丸自身のためと云うより、砲丸が山へ当って、石の砕けたのを跳《は》ね返《かえ》したためです。こう云う傾斜のはなはだしい所ですから、いざと云う時に、すぐ遠くから駆《か》け寄せて敵を追《お》い退《の》ける訳に行きませんので、みんなこう云うところへ平たくなって噛《かじ》りついているのであります。そうして味方の砲丸が眼の前へ落ちて、一度に砂煙《すなけむり》が揚《あ》がるとその虚《きょ》に乗じて一間か二間ずつ這《は》い上がるのですから、勢い砂煙に交《まじ》る石のために身体中|創《きず》だらけになるのです。と市川君は詳しい説明を与えられた。
 味方の砲弾《たま》でやられなければ、勝負のつかないような烈《はげ》しい戦《いくさ》は苛過《つらす》ぎると思いながら、天辺《てっぺん》まで上《のぼ》った。そこには道標《どうひょう》
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