満韓ところどころ
夏目漱石
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)南満鉄道会社《なんまんてつどうかいしゃ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二十四五年|前《ぜん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「山+贊」、第4水準2−8−72]
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一
南満鉄道会社《なんまんてつどうかいしゃ》っていったい何をするんだいと真面目《まじめ》に聞いたら、満鉄《まんてつ》の総裁も少し呆《あき》れた顔をして、御前《おまえ》もよっぽど馬鹿だなあと云った。是公《ぜこう》から馬鹿と云われたって怖《こわ》くも何ともないから黙っていた。すると是公が笑いながら、どうだ今度《こんだ》いっしょに連れてってやろうかと云い出した。是公の連れて行ってやろうかは久しいもので、二十四五年|前《ぜん》、神田の小川亭《おがわてい》の前にあった怪しげな天麩羅屋《てんぷらや》へ連れて行ってくれた以来時々連れてってやろうかを余に向って繰返す癖がある。そのくせいまだ
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