いる。外と内とは全く反対である。満鉄の経営にかかるこのホテルは、固《もと》より算盤《そろばん》を取っての儲《もう》け仕事でないと云う事を思い出すまでは、どうしても矛盾の念が頭を離れなかった。
 食堂に下りて、窓の外に簇《むら》がる草花の香《におい》を嗅《か》ぎながら、橋本と二人静かに午餐《ごさん》の卓に着いたときは、機会があったら、ここへ来て一夏気楽に暮したいと思った。

        二十三

 旅順に着いた時汽車の窓から首を出したら、つい鼻の先の山の上に、円柱のような高い塔が見えた。それがあまり高過ぎるので、肩から先を前の方へ突き出して、窮屈に仰向《あおむ》かなくては頂点《てっぺん》まで見上げる訳に行かなかった。
 馬車が新市街を通り越してまたこの塔の真下に出た時に、これが白玉山《はくぎょくざん》で、あの上の高い塔が表忠塔だと説明してくれた。よく見ると高い灯台のような恰好《かっこう》である。二百何尺とかと云う話であった。この山の麓《ふもと》を通り越して、旧市街を抜けると、また山路にかかる。その登り口を少し右へ這入《はい》った所に、戦利品陳列所がある。佐藤は第一番にそれを見せるつも
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