と西洋人が二人いた。朝早いので、客車内で持参の弁当か何か食っていたが、撫順に着いたら我々といっしょに汽車を降りた。出迎えのものが挨拶《あいさつ》しているところを聞いて見ると、そのうちの一人は奉天の英国領事であった。我々もこの英人等といっしょに炭坑の事務室に行って、二階で松田さんに逢った。松田さんは縞《しま》の縮《ちぢみ》の襯衣《シャツ》の上に薄い背広を着ていた。背の低い気軽な人なので、とうてい坑長とは思えなかった。我々と英国人を二所《ふたところ》に置いて、双方へ向けて等分に話をした。橋本も余も英語はいっさい口にしなかった。したがって英人とは言葉を交《まじ》えなかった。
 やがて松田さんが案内になって表へ出た。貯水池の土堤《どて》へ上《あが》ると、市街が一目に見える。まだ完全にはでき上っていないけれども、ことごとく煉瓦作《れんがづく》りである上に、スチュジオにでも載りそうな建築ばかりなので、全く日本人の経営したものとは思われない。しかもその洒落《しゃれ》た家がほとんど一軒ごとに趣《おもむき》を異《こと》にして、十軒|十色《といろ》とも云うべき風に変化しているには驚いた。その中には教会があ
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