きた馬を三匹|生捕《いけど》るとなると、手数《てすう》のかかるのは一通りではあるまい。連中は格別早起きもしない癖に、今更苦情を並べたって始まらないと思って、同行を断念した余は、冷然と落ちついていた。本来を云うと、千山《せんざん》へ行くのが目的で、わざわざここに降りたには相違ないが、一旦自分が千山行を諦《あきら》めたとなると、ほかの連中が予定通《よていどおり》に行動するのが、いまいましくなる。第一橋本なんて農科の男は、千山を見る必要も何もないのである。千山は唐《とう》の時代に開いた梵刹《ぼんさつ》で、今だに残っているのは、牛でもなければ豚でもない、ただ山と谷と巌《いわ》と御寺と坊主だけであるから、農科の教授がわざわざ馬に乗って見物に行くべきところではけっしてない。と云ってせっかく行くと云うものを、意見までして思い止まらせるほどの口実は無論考え出せないから、なすがままにさせて放《ほう》っておいた。そのうち不思議な事に、注文通《ちゅうもんどおり》馬が三匹出て来た。どこから出て来たものか聞いても見なかったが、たしかに出て来た。三人は癪《しゃく》に障《さわ》るほど勇んで外へ飛び出した。余は仕方が
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