が垂れていて、中は判然《はっきり》と分らなかったが、次を覗いて見る段になって驚いた。二畳敷ぐらいの土間の後《うしろ》の方を、上《あが》り框《がまち》のように、腰をかけるだけの高さに仕切って、そこに若い女が三人いた。三人共腰をかけるでもなく、寝転ぶでもなく、互に靠《もた》れ合って身体《からだ》を支えるごとくに、後の壁をいっぱいにした。三人の着物が隙間《すきま》なく重なって、柔かい絹をしなやかに圧《お》しつけるので、少し誇張して形容すると、三人が一枚の上衣を引き廻しているように見える。その間から小さな繻子《しゅす》の靴が出ていた。
三人の身体が並んでいる通り、三人の顔も並んでいた。その左右が比較的尋常なのに引きかえて、真中のは不思議に美しかった。色が白いので、眉《まゆ》がいかにも判然していた。眼も朗《ほがら》かであった。頬から顎《あご》を包む弧線《こせん》は春のように軟《やわらか》かった。余が驚きながら、見惚《みと》れているので、女は眼を反《そ》らして、空《くう》を見た。余が立っている間、三人は少しも口を利《き》かなかった。
青林館の主人は自分ほどこの女に興味がなかったと見えて、好加減
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