色から割り出した感じであった。松山の上から見渡すと、高い日に映る、茶色や黄色が、縞《しま》になったり、段になったり、模様になったり、霞《かすみ》で薄くされて、雲に接《つづ》くまで、一面に平野を蔽《おお》うている。満洲は大きな所であった。
 宿へ帰ったら、御神《おかみ》さんが駅長の贈って来た初茸を汁《つゆ》にして、晩に御膳《おぜん》の上へ乗せてくれた。それを食って、梨畑や、馬賊や、土の櫓や、赤い旗の話しなぞをして寝た。

        三十七

 立つ用意をしているところへ御神さんが帳面を持って出て来た。これへ何か書いて行って下さいと云う。御神さんは余を二つ接《つ》ぎ合《あわ》せたように肥えている。それで病気だそうだ。始めはどこのものだか分らなかったが、御神さんと知って、調子の下女と違っているのに驚いた。御神さんはその体格の示すごとき好い女であった。どうしてあんなすれっからしの下女を使いこなすかが疑問になったくらいである。帳面を前へ置いて、どうぞと手を膝《ひざ》の上に重ねた。その膝の厚さは八寸ぐらいある。
 帳面を開けると、第一|頁《ページ》に林学博士のH君が「本邦《ほんぽう》の山水《
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