に騾馬の講義を聞くと、まず騾と※[#「馬+夬」、第4水準2−92−81]※[#「馬+是」、第4水準2−92−94]《けってい》の区別から始めるので、真率《しんそつ》な頭脳をただいたずらに混乱させるばかりだから、黙って鞍《くら》のない裸姿を眺めていた。騾馬は首を伏せてしきりに短い草を食っていた。
門の突き当りがいわゆる客間であるが、観音扉《かんのんびらき》を左右に開けて這入るところなぞは御寺に似ている。中は汚《きた》ないものであった。客でも招待するときには、臨時に掃除をするのかと聞いたら、そうだと答えていた。主人に挨拶《あいさつ》をしてまた松山を抜けたら、松の間に牛が放してあった。駅長が行く行く初茸《はつだけ》を取った。どこから目付《めつ》け出すか不思議なくらい目付け出した。橋本も余も面白半分少し探して見たが、全く駄目であった。山を下《くだ》るとき、おい満洲を汽車で通ると、はなはだ不毛《ふもう》の地のようであるが、こうして高い所に登って見ると、沃野《よくや》千里という感があるねと、橋本に話しかけたが、橋本にはそんな感がなかったと見えて、別に要領の好い返事をしなかった。余の沃野千里は全く
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