あし》のまま飛び下りて、肩と手をいっしょにして、うんうん押す。押さなければいいと思うぐらい、車が早く廻るので、乗ってる人の臓器《ぞうき》は少からず振盪《しんとう》する。余はこのトロに運搬されたため、悪い胃を著るしく悪くした。車の上では始終《しじゅう》ゼムを含んで早く目的地へ着けば好いと思っていた。勢いよく駆《か》けられれば、駆けられるほどなお辛《つら》かった。それでも台からぶら下げた足を折らなかったのが、まだ仕合せである。実際酒に酔って腰をかけたまま脛《すね》を折っぺしょった人があるそうだ。見ると橋本の帽子の鍔《つば》が風に吹かれてひらひらと靡《なび》いている。余は鳥打の前廂《まえびさし》を深く下げてなるべく日に背《せな》を向けるようにしていた。
 苦しい十五分か廿分の後《のち》車はようやく留まった。軌道の左側だけが、畠《はた》を切り開いて平らにしてある。眼を蔽《おお》う高粱の色を、百坪余り刈り取って、黒い砂地にした迹《あと》へ、左右に長い平屋を建てた。壁の色もまだ新しかった。玄関を這入って座敷へ通ると、窓の前は二間ほどしかない。その縁《ふち》に朝顔のような草が繁《しげ》っているが、絡
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