まいと思ったが、佐藤は短冊を取上げて、何だ年《とし》を分つ古き都やと読んでいた。
鶉《うずら》の腹《はら》を抱《かか》えたなり、ホテルへ帰って勘定《かんじょう》を済まして、停車場《ステーション》へ駆《かけ》つけると、プラットフォームに大きな網籠《あみかご》があった。その中に鶉の生きたのがいっぱい這入《はい》って雛鳥《ひよっこ》を詰めたようにむくむく動いている。発車の時間に少し間があったので、田中君は籠の傍《そば》へ行って所有主と談判を始めた。余が近寄ったときは、一羽が三銭だとか四銭だとか云っていた。ところへ駅員が来て、宜《よろ》しゅうございます、この汽車へ積込んで御届け申しますと受合った。三人はとうとう鶉と別れて汽車へ乗った。
三十一
いよいよ腹が痛んだ。ゼムを噛《か》んだり、宝丹《ほうたん》を呑んだり、通じ薬をやったり、内地から持って来た散薬を用いたりする。毎日飯を食って呑気《のんき》に出歩いているようなものの、内心ではこりゃたまらないと思うくらいであった。大連の病院を見に行ったとき、苦《くる》し紛《まぎ》れに、案内をしてくれた院長の河西君《かさいくん》に向っ
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