ばかりで、ややともすると前の附焼《つけやき》と紛《まぎ》れやすかった。しかもこの紛れやすい油揚はだいぶ仕込んで有ったと見えて、まだ喰い切らない先に御代りが出て来た。
かくのごとく鶉が豊富であったため、つい食べ過ぎた。余の胃の中に這入った骨だけの分量でもずいぶんある。大連へ帰って胃の痛みが増したとき、あまり鶉の骨を喰ったせいじゃなかろうかと橋本に相談したら、橋本は全くそうだろうと答えた。食事が終ってから応接間へ帰って来ると、佐藤が突然、時に君は何かやるそうじゃないかと聞いた。是公《ぜこう》に東京で逢《あ》ったとき、是公はにやにや笑いながら、いったい貴様は新聞社員だって、何か書いてるのかと聞いた。こう云う質問になると、是公も友熊も同程度のものである。
何かやるなら一つ書いて行くが好いと云って、妙な短冊を出した。それを傍《そば》へ置いて話をしていると、一つ書こうじゃないかと催促する。今考えているところだと弁解すると、ああそうかと云って、また話をする。しまいに墨を磨って、とうとう手《て》を分《わか》つ古《ふる》き都《みやこ》や鶉《うずら》鳴《な》くと書いた。佐藤の事だから何を書いたって解る
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