後《おく》れて着くと、スキ焼を推挙した田中君がもう来ていた。田中君も鶉の御相伴《おしょうばん》と見える。佐藤は食卓の準備を見るために、出たり這入《はい》ったりする。立派な仙台平《せんだいひら》の袴《はかま》を着けてはいるが、腰板《こしいた》の所が妙に口を開《あ》いて、まるで蛤《はまぐり》を割ったようである。そうして、それを後下《うしろさが》りに引《ひ》き摺《ず》っている。それでもって、さあ食おうと云って、次の間の食堂へ案内した。西洋流の食卓の上に、会席膳《かいせきぜん》を四つ並べて、いよいよ鶉の朝飯となった。
まず御椀《おわん》の蓋《ふた》を取ると、鶉がいる。いわゆる鶉の御椀だから不思議もなく食べてしまった。皿の上にもいるが、これはたしか醤油で焼かれたようだ。これも旨《うま》く食べた。第三は何でも芋《いも》か何かといっしょに煮られたように記憶している。しかし遺憾《いかん》ながら、判然《はっきり》とその味を覚えていない。これらを漸次《ぜんじ》に平《たいら》げると、佐藤はまだあるよと云って、次の皿を取り寄せた。それも無論鶉には相違なかった。けれどもただ西洋流の油揚《あぶらあげ》にしてある
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