と同じような口上を述べた。
「どうも色々御手数《おてかず》を掛けまして、有難う。じゃ頂戴《ちょうだい》します」
兄は礼をいってそれを受取った。
健三は黙って三人の様子を見ていた。三人は殆んど彼の其所《そこ》にいる事さえ眼中に置いていなかった。しまいまで一言《いちごん》も発しなかった彼は、腹の中で甚しい侮辱を受けたような心持がした。しかし彼らは平気であった。彼らの仕打を仇敵《きゅうてき》の如く憎んだ健三も、何故《なぜ》彼らがそんな面中《つらあて》がましい事をしたのか、どうしても考え出せなかった。
彼は自分の権利も主張しなかった。また説明も求めなかった。ただ無言のうちに愛想《あいそう》を尽かした。そうして親身の兄や姉に対して愛想を尽かす事が、彼らに取って一番|非道《ひど》い刑罰に違なかろうと判断した。
「そんな事をまだ覚えていらっしゃるんですか。貴夫《あなた》も随分執念深いわね。御兄《おあに》いさんが御聴きになったらさぞ御驚ろきなさるでしょう」
細君は健三の顔を見て暗にその気色《けしき》を伺った。健三はちっとも動かなかった。
「執念深かろうが、男らしくなかろうが、事実は事実だよ。よ
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