置いて相当の利子を取る方が安全だがな」
「だから確《たしか》な人に貸したいっていうんでしょう」
「確な人はそんな金は借りないさ。怖いからね」
「だけど普通の利子じゃ遣って行けないんでしょう」
「それじゃ己《おれ》だって借りるのは厭《いや》ださ」
「御兄《おあに》いさんも困っていらしってよ」
 比田は今後の方針を兄に打ち明けると同時に、先ずその手始として、兄に金を借りてくれと頼んだのだそうである。
「馬鹿だな。金を借りてくれ、借りてくれって、こっちから頼む奴もないじゃないか。兄貴だって金は欲しいだろうが、そんな剣呑《けんのん》な思いまでして借りる必要もあるまいからね」
 健三は苦々しいうちにも滑稽《こっけい》を感じた。比田の手前勝手な気性がこの一事でも能《よ》く窺《うかが》われた。それを傍《はた》で見て澄ましている姉の料簡《りょうけん》も彼には不可思議であった。血が続いていても姉弟《きょうだい》という心持は全くしなかった。
「御前己が借りるとでもいったのかい」
「そんな余計な事いやしません」

     百

 利子の安い高いは別問題として、比田から融通してもらうという事が、健三にはとて
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