さめ》でも欠《あくび》でも何でもかでも不可思議な現象と見えた。
「今にどんなになるだろう」
 当面に忙殺《ぼうさい》される彼らの胸にはかつてこうした問題が浮かばなかった。自分たち自身の今にどんなになる[#「なる」に傍点]かをすら領解し得ない子供らは、無論今にどうするだろうなどと考えるはずがなかった。
 この意味で見た彼らは細君よりもなお遠く健三を離れていた。外から帰った彼は、時々洋服も脱がずに、敷居の上に立ちながら、ぼんやりこれらの一団を眺めた。
「また塊《かたま》っているな」
 彼はすぐ踵《きびす》を回《めぐ》らして部屋の外へ出る事があった。
 時によると彼は服も改めずにすぐ其所《そこ》へ胡坐《あぐら》をかいた。
「こう始終|湯婆《ゆたんぽ》ばかり入れていちゃ子供の健康に悪い。出してしまえ。第一いくつ入れるんだ」
 彼は何にも解らないくせに好《い》い加減な小言《こごと》をいってかえって細君から笑われたりした。
 日が重なっても彼は赤ん坊を抱いて見る気にならなかった。それでいて一つ室《へや》に塊っている子供と細君とを見ると、時々別な心持を起した。
「女は子供を専領してしまうものだね」

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