い遠くの空の佗《わ》びしさまで想像の眼に浮べた。
「何しろ電報が来ただけで、詳しい事はまるで分りませんのですから」
「じゃなお御心配でしょう。なるべく早く御立ちになる方が好《い》いでしょう」
 幸いにして父の病気は軽かった。しかし彼の手を着けかけたという鉱山事業はそれぎり立消《たちぎえ》になってしまった。
「まだ何にも見付からないのかね、口は」
「あるにはあるようですけれども旨《うま》く纏《まとま》らないんですって」
 細君は父がある大きな都会の市長の候補者になった話をして聞かせた。その運動費は財力のある彼の旧友の一人が負担してくれているようであった。しかし市の有志家が何名か打ち揃《そろ》って上京した時に、有名な政治家のある伯爵《はくしゃく》に会って、父の適不適を問い訊《ただ》したら、その伯爵がどうも不向《ふむき》だろうと答えたので、話はそれぎりでやめになったのだそうである。
「どうも困るね」
「今に何とかなるでしょう」
 細君は健三よりも自分の父の方を遥かに余計信用していた。健三も例の怪力《かいりょく》を知らないではなかった。
「ただ気の毒だからそういうだけさ」
 彼の言葉に嘘《うそ
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