》く立ち上った。

     四十八

 電気燈のまだ戸《こ》ごとに点《とも》されない頃だったので、客間には例《いつ》もの通り暗い洋燈《ランプ》が点《つ》いていた。
 その洋燈は細長い竹の台の上に油壺《あぶらつぼ》を篏《は》め込むように拵《こしら》えたもので、鼓《つづみ》の胴の恰形《かっこう》に似た平たい底が畳へ据わるように出来ていた。
 健三が客間へ出た時、島田はそれを自分の手元に引き寄せて心《しん》を出したり引っ込ましたりしながら灯火《あかり》の具合を眺めていた。彼は改まった挨拶《あいさつ》もせずに、「少し油煙がたまるようですね」といった。
 なるほど火屋《ほや》が薄黒く燻《くす》ぶっていた。丸心《まるじん》の切方《きりかた》が平《たいら》に行かないところを、むやみに灯《ひ》を高くすると、こんな変調を来すのがこの洋燈の特徴であった。
「換えさせましょう」
 家には同じ型のものが三つばかりあった。健三は下女《げじょ》を呼んで茶の間にあるのと取り換えさせようとした。しかし島田は生返事をするぎりで、容易に煤《すす》で曇った火屋から眼を離さなかった。
「どういう加減だろう」
 彼は独り言を
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