当が付かなかった。
「どっちでしょう」
「到底解らないよ、ああいう人の考えは」
島田は実際どっちでも遣りかねない男であった。
彼は三日ほどしてまた健三の玄関を開けた。その時健三は書斎に灯火《あかり》を点《つ》けて机の前に坐《すわ》っていた。丁度彼の頭に思想上のある問題が一筋の端緒《いとくち》を見せかけた所であった。彼は一図にそれを手近まで手繰《たぐ》り寄せようとして骨を折った。彼の思索は突然|截《た》ち切られた。彼は苦い顔をして室《へや》の入口に手を突いた下女《げじょ》の方を顧みた。
「何もそう度々《たびたび》来て、他《ひと》の邪魔をしなくっても好さそうなものだ」
彼は腹の中でこう呟《つぶ》やいた。断然面会を謝絶する勇気を有《も》たない彼は、下女を見たなり少時《しばらく》黙っていた。
「御通し申しますか」
「うん」
彼は仕方なしに答えた。それから「御奥《おく》さんは」と訊《たず》ねた。
「少し御気分が悪いと仰《おっ》しゃって先刻《さっき》から伏せっていらっしゃいます」
細君の寐《ね》るときは歇私的里《ヒステリー》の起った時に限るように健三には思えてならなかった。彼は漸《ようや
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