々健三を伴《つ》れて以前の通り外へ出る事があった。彼は一口も酒を飲まない代りに大変甘いものを嗜《たしな》んだ。ある晩彼は健三と御藤さんの娘の御縫《おぬい》さんとを伴れて、賑《にぎや》かな通りを散歩した帰りに汁粉屋《しるこや》へ寄った。健三の御縫さんに会ったのはこの時が始めてであった。それで彼らは碌《ろく》に顔さえ見合せなかった。口はまるで利かなかった。
宅へ帰った時、健三は御常から、まず島田にどこへ伴れて行かれたかを訊《き》かれた。それから御藤さんの宅へ寄りはしないかと念を押された。最後に汁粉屋へは誰と一所に行ったという詰問を受けた。健三は島田の注意にかかわらず、事実をありのままに告げた。しかし御常の疑いはそれでもなかなか解けなかった。彼女はいろいろな鎌《かま》を掛けて、それ以上の事実を釣り出そうとした。
「あいつも一所なんだろう。本当を御いい。いえば御母《おっか》さんが好いものを上げるから御いい。あの女も行ったんだろう。そうだろう」
彼女はどうしても行ったといわせようとした。同時に健三はどうしてもいうまいと決心した。彼女は健三を疑《うたぐ》った。健三は彼女を卑しんだ。
「じゃあの
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