1−87−69]対遥林[#「※[#「口+荅」、第4水準2−4−16]然隔※[#「片+(戸+甫)」、第3水準1−87−69]対遥林」に白丸傍点]。
斜陽満径照僧遠[#「斜陽満径照僧遠」に白丸傍点]。 黄葉一村蔵寺深[#「黄葉一村蔵寺深」に白丸傍点]。
懸偈壁間焚仏意[#「懸偈壁間焚仏意」に白丸傍点]。 見雲天上抱琴心[#「見雲天上抱琴心」に白丸傍点]。
人間至楽江湖老[#「人間至楽江湖老」に白丸傍点]。 犬吠鶏鳴共好音[#「犬吠鶏鳴共好音」に白丸傍点]。
[#ここで字下げ終わり]
と云う詩を遺《おく》った。巧拙《こうせつ》は論外として、病院にいる余が窓から寺を望む訳もなし、また室内に琴《こと》を置く必要もないから、この詩は全くの実況に反しているには違《ちがい》ないが、ただ当時の余の心持を咏《えい》じたものとしてはすこぶる恰好《かっこう》である。宮本博士が退屈をすると酸《さん》がたまると云ったごとく、忙殺《ぼうさつ》されて酸が出過ぎる事も、余は親しく経験している。詮《せん》ずるところ、人間は閑適《かんてき》の境界《きょうがい》に立たなくては不幸だと思うので、その閑適をしばらくなりとも貪《む
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