は少々困ると内心ではひやひやして聞いている。
「そこまでは結構だったが、――飛んだ故障が出来たじゃ」
「へええ」そう来なくってはと思う。
「その頃|国家老《くにがろう》にやはり才三くらいな年恰好《としかっこう》なせがれが有って、このせがれがまた帯刀の娘に恋慕《れんぼ》して、是非貰いたいと聞き合せて見るともう才三方へ約束が出来たあとだ。いかに家老の勢でもこればかりはどうもならん。ところがこのせがれが幼少の頃から殿様の御相手をして成長したもので、非常に御上《おかみ》の御気に入りでの、あなた。――どこをどう運動したものか殿様の御意《ぎょい》でその方《ほう》の娘をあれに遣《つか》わせと云う御意が帯刀に下《お》りたのだて」
「気の毒ですな」と云ったが自分の見込が着々|中《あた》るので実に愉快でたまらん。これで見ると朋友の死ぬような凶事でも、自分の予言が的中するのは嬉しいかも知れない。着物を重ねないと風邪《かぜ》を引くぞと忠告をした時に、忠告をされた当人が吾が言を用いないでしかもぴんぴんしていると心持ちが悪《わ》るい。どうか風邪が引かしてやりたくなる。人間はかようにわがままなものだから、余一人を責
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