して親方に渡した。
「気管支炎。病気じゃないか」
「ええ駄目です」
「そりゃ困ったな。どうするい」
「やっぱり置いて下さい」
「そいつあ、無理じゃないか」
「ですが、もう帰れないんだから、どうか置いて下さい。小使でも、掃除番でもいいですから。何でもしますから」
「何でもするったって、病気じゃ仕方がないじゃないか。困ったな。しかしせっかくだから、まあ考えてみよう。明日までには大概様子が分るだろうからまた来て見るがいい」
自分は石のようになって、飯場《はんば》へ帰って来た。
その晩は平気で囲炉裏《いろり》の側《そば》に胡坐《あぐら》をかいていた。坑夫共が何と云っても相手にしなかった。相手にする料簡《りょうけん》も出なかった。いくら騒いでも、愚弄《からか》っても、よしんば踏んだり蹴《け》たりしても、彼らは自分と共に一枚の板に彫りつけられた一団の像のように思われた。寝るときは布団《ふとん》は敷かなかった。やはり囲炉裏の傍《そば》に胡坐をかいていた。みんな寝着いてから、自分もその場へ仮寝《うたたね》をした。囲炉裏へ炭を継《つ》ぐものがないので、火の気《け》がだんだん弱くなって、寒さがしだいに
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