どうかして布団《ふとん》を敷きたい。ことによれば今日は疲れ果てているから、南京虫《ナンキンむし》がいても寝られるかも知れない。それに蒲団《ふとん》の奇麗《きれい》なのを選《よ》ったらよかろう。ことさら日によって、南京虫の数が違わないとも限るまい。といろいろな理窟《りくつ》をつけて布団を出して、そうっと潜《もぐ》り込んだ。
この晩の、経験を記憶のまま、ここに書きつけては、自分がお話しにならない馬鹿だと吹聴《ふいちょう》する事になるばかりで、ほかに何の利益も興味もないからやめる。一口《ひとくち》に云うと、昨夜《ゆうべ》と同じような苦しみを、昨夜以上に受けて、寝るが早いか、すぐ飛び起きちまった。起きた後で、あれほど南京虫に螫《さ》されながら、なぜ性懲《しょうこり》もなくまた布団《ふとん》を引っ張り出して寝たもんだろうと後悔した。考えると、全くの自業自得《じごうじとく》で、しかも常識のあるものなら誰でも避《よ》けられる、また避けなければならない自業自得だから、我れながら浅ましい馬鹿だと、つくづく自分が厭《いや》になって、布団の上へ胡坐《あぐら》をかいたまま、考え込んでいると、また猛烈にちくり
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