おなお道を聞くのが厭《いや》になった。死んだって一人で出て見せると云う気になった。手前共に口を聞くような安っぽい男じゃないと、腹の中でたしかに申し渡して擦《す》れ違った。向うは何にも知らないから、これは無論だまって擦れ違った。行く先は暗くなった。カンテラ[#「カンテラ」に傍点]は一つになった。気はますます焦慮《いら》って来た。けれどもなかなか出ない。ただ道はどこまでもある。右にも左にもある。自分は右にも這入った、また左にも這入った、また真直にも歩いて見た。しかし出られない。いよいよ出られないのかと、少しく途方に暮れている鼻の先で、かあんかあんと鳴り出した。五六歩で突き当って、折れ込むと、小さな作事場があって、一人の坑夫がしきりに槌《つち》を振り上げて鑿《のみ》を敲《たた》いている。敲くたんびに鉱《あらがね》が壁から落ちて来る。その傍《そば》に俵がある。これはさっきスノコ[#「スノコ」に傍点]へ投げ込んだ俵と同じ大きさで、もういっぱい詰っている。掘子《ほりこ》が来て担《かつ》いで行くばかりだ。自分は今度こそこいつに聞いてやろうと思った。が肝心《かんじん》の本人が一生懸命にかあんかあん鳴ら
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