れないのがもっとも邪魔になる。この邪魔ものの一局部へ頭を擲《たた》きつけて、せめて罅《ひび》でも入らしてやろうと――やらないまでも時々思うのは、早く華厳《けごん》の瀑《たき》へ行きたいからであった。そうこうしているうちに、向うから一人の掘子《ほりこ》が来た。ばらの銅《あかがね》をスノコ[#「スノコ」に傍点]へ運ぶ途中と見えて例の箕《み》を抱《だ》いてよちよちカンテラ[#「カンテラ」に傍点]を揺《ゆ》りながら近づいた。この灯を見つけた時は、嬉しくって胸がどきりと飛び上がった。もう大丈夫と勇んで近寄って行くと、近寄るがものはない、向うでもこっちへ歩いて来る。二つのカンテラ[#「カンテラ」に傍点]が一間ばかりの距離に近寄った時、待ち受けたように、自分は掘子の顔を見た。するとその顔が非常な蒼《あお》ん蔵《ぞう》であった。この坑のなかですら、只事《ただごと》とは受取れない蒼ん蔵である。あかるみへ出して、青い空の下で見たら、大変な蒼ん蔵に違《ちがい》ない。それで口を利《き》くのが厭《いや》になった。こんな奴の癖に人に調戯《からか》ったり、嬲《なぶ》ったり、辱《はずか》しめたりするのかと思ったら、な
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